”国内初”を生み出したユニークな発想
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プロジェクト名後外側骨片固定専用プレート
後外側骨片固定専用プレートとは?
国内で年間約10万人が受傷する大腿骨転子部骨折において、近年CTによる画像診断の普及により、「後外側骨片」の存在が明らかになり問題視されるようになってきました。その「後外側骨片」に着目した独自の医療機器が後外側骨片固定専用プレートです。

開発の経緯
ものまねでない発想
大腿骨転子部骨折の標準的な治療では、大腿骨の髄腔内にショートフェモラルネイル(以下、SFN)を挿入し骨折部を固定します。世界中のメーカーから多種多様なSFNが開発され進化してきましたが、一方でSFNと併用して後外側骨片を固定することに着目したインプラントの開発はほとんど行われていませんでした。そこで私たちは同骨折治療のニーズを「SFNと併用し簡便に設置できる、後外側骨片を把持・固定するインプラント」と定義し、後外側骨片固定専用プレートの開発をスタートしました。

開発の流れ
真の顧客満足を求めて
まず文献や医師へのヒアリングより、医療現場の抱えているニーズを調査し定義します。次に、CADシステムを用いて3Dイメージをデザインし、3Dプリンターや機械加工で試作品を製造します。さらにできあがった3Dイメージや試作品を、プロジェクトメンバーやアドバイザー医師と評価し、再度設計にフィードバック。この設計・試作・レビューを何度も繰り返し、ニーズを満たす製品形状に近づけていきます。

日の目を見るその瞬間のために
製品形状が決まってもまだ医療機器として製造・販売することはできません。医療機器承認に必要な機械的強度・無菌性などを証明する試験を実施します。さらに、承認申請書類を作成し、PMDAにて品質・有効性・安全性の審査を受ける必要があります。審査に合格すれば、ようやく厚生労働大臣より高度管理医療機器承認*を受けることができます。(*クラスⅢの場合)

Progress
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01
リサーチ
文献調査や医師へのヒアリングをもとに医療ニーズを調査・定義
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02
設計・試作
3D-CADシステムで設計し、試作品を製造
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設計試作とレビューを繰り返し各種試験へ
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03
レビュー
完成イメージや試作を評価し、設計にフィードバック
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04
各種試験
医療機器承認に必要な証明試験を実施
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05
薬事申請
PMDA*の審査を経て、高度管理医療機器承認を受ける
*「独立行政法人 医薬品医療機器総合機構」の略
成功した理由
前例がないなら、つくる
OLSAは設計・試作・開発Drのレビューを繰り返すことで、製品設計をブラッシュアップさせていきました。前例が確認できず、整形インプラント承認申請のガイドラインの適用も困難な状況でした。そこから有効性・安全性を証明する「試験系」の設計は困難もありましたが、プロジェクトチーム内で協議を重ね、PMDAとの相談を繰り返しながら1つ1つクリアにしていくことで、その後の審査もスムーズにいきました。

未解決な医療ニーズへの挑戦
整形外科の先生方からは「これまで後外側骨片を固定したい想いはあったけれど、専用のインプラントがなく諦めていた」といった話をよく伺います。今回開発した後外側骨片固定専用プレートは、そのような未解決な医療ニーズを解決できる製品だと考えております。我々は今後もこのようなユニークな製品を開発できるよう挑戦を続けます。
